不定期連載 OSD事務局マネの『長い自己紹介』第7回 | 一般社団法人OSDよりそいネットワーク

不定期連載 OSD事務局マネの『長い自己紹介』第7回

第7回 ドラえもんを求めて

 
 小学一年の冬に近い秋の日曜日、父とドラえもんを買いに出かけた。ドラえもんは当時から大人気漫画で、前週か前々週に母と地元の駅周辺の本屋をいくつか廻ったが見つからず、代わりに園山俊二のマンモスが出てくる漫画を買ってもらって帰宅した。この日、父と再チャレンジとなった。

 まず、駅東口近くの本屋から探す。やっぱり無いので地下道を通って西口に出て、駅前の大通りとその周辺の本屋をいくつか探すが無く、この時の心境は覚えていないが無心で歩いていたような気がする。

 歩きに歩いて表町の交差点付近の本屋にたどり着き、父が「これじゃねぇか」と言いながら指差した先にドラえもんの第2巻が、あった。本当は第1巻から揃えたかったが贅沢は言ってられない、第2巻を買ってもらって帰宅。

 こんな思い出があるからか、この巻の第1話が「テストにアンキパン」なのはよく覚えている。その後も父は時々ドラえもんをおみやげに買ってきてくれた。いい校長先生だ。

 ひきこもり支援に関わるようになってから時々思い出すのが第3巻の「ママをとりかえっこ」。のび太、スネ夫、しずかちゃんの3人がそれぞれママに怒られて、しょげながら土管の置いてある空き地に集まった。ママの悪口を言い合ったり自分の言い分を主張したりしていたら、ドラえもんが「ママをとりかえっこしてみよう」と提案して “家族合わせケース” という道具を四次元ポケットから取り出す。のび太はしずかちゃんのママと、しずかちゃんはスネ夫のママと、スネ夫はのび太のママと組み合わせて、取り替えたママのところに行ってしばらく過ごす。

 3人の共通の感想は意外にも「いいママじゃないか」というもの。時には誤解で怒ったり八つ当たりすることもあるけどママも神さまじゃないと納得して本来のママのところに戻るという、ほのぼのとした気持ちになりながらも考えさせられる話だった。

 この話を思い出しながらひきこもりのお子さんを持つ親御さんの話を振り返ってみると、皆さん自分の子どもの話しかしていないことに気付く。親が集まる家族会だから当然じゃないかと言われそうだが、僕はそこにひっかかりを覚える。ひきこもった自分の子どもが心配で、子ども本来の良さが見えにくくなっているのかもしれないが、よそのお子さんのことなら客観視できて良いところが見えてくるのではないか、なんて思ったりもする。“親を取り替えてみよう” とまでは言わないが、親同士でよそのお子さんを褒め合う機会などあってもいいのではないかと思う。

 余談だが「あやうし! ライオン仮面」の話が好きで続きが50年経った今でも気になる。


過去回はこちらから
第6回「名ヶ山小学校」
第5回「主な登場人物の紹介」
第4回「母の趣味」
第3回「兄の近況」
第2回「大橋史信さん」
第1回「ごあいさつ」