不定期連載 OSD事務局マネの『長い自己紹介』第12回 | 一般社団法人OSDよりそいネットワーク

不定期連載 OSD事務局マネの『長い自己紹介』第12回

第12回 兄にお礼を言われた話

 兄が大学2年、俺が小6、比較的兄の機嫌がよかった頃の話。

 俺が小4の冬に、任天堂のテレビゲームを買ってもらった。初期も初期のタイプで、一応ホッケー、テニス、バレーボールの3種類の競技があったが、ラケットと称する板を上下に移動させるだけで、球を打つとピコーン、ピコーンと心電図のような音がする素朴なゲームだったと思う。買ってもらった当初はうれしくて一生懸命遊んでいたが、やがて飽きて応接間の家具調テレビの下にコードを巻いて放置されていた。

(二つの価格帯があって、買ってもらったのは安い方のテレビゲーム)

 大学2年の兄が夏休みで帰省していたある日、中学か高校の時の友だちが遊びに来ていた。しばらくして、めずらしく兄が「使い方教えてよ」と俺に言ってきた。応接間にいたお友だちがテレビゲームを見つけてやりたがったらしく、兄もやったことがないので俺に使い方を聞いてきたわけだ。兄に呼ばれること自体めずらしくびっくりしたが、久しぶりに電源を入れてみた。教えると言ってもスイッチの種類を教えてやっているところを少し見せただけで、その後すぐ兄の友達と対戦した。遊び飽きた小6とはじめてやる大学生では当然俺の方が上手く、お友だちは「オレ才能ないなぁ」などと言いながら俺を立ててくれたのが社交辞令であることはわかっていてもちょっとうれしく、得意になっていた。

 しばらくお友達と遊んだ後、俺は自分の部屋に戻り、兄とお友だちは夕方まで遊んでいた。友だちが帰った後、兄がまた俺の部屋にやってきて「ありがとう」と言った。俺は「お兄ちゃんにお礼言われちゃったよ」と、びっくりしてちょっとドキドキした。兄にお礼を言われたのは後にも先にもこの時だけである。

 兄には友だちがいなかったわけではなく、兄が中学生、高校生の頃は時々だれかが遊びに来ていた。特にテレビゲームで一緒に遊んだこのお友だちの印象は強く、いい人だったなぁと、今でも思っている。できることならこの人から当時の兄のことを聞いてみたい。

 兄のお友だちがこのブログを読んでいる確率は三億円の宝くじが当たる確率より低いと思うが、そんなわけでK山さん、もし読んでいらしたらOSDまでご連絡ください。

過去回はこちらから
第11回「兄と写生に出かけた話」
第10回「トランジスタラジオ」
第9回「母の介護と義父の介護」
第8回「調子に乗った話」
第7回「ドラえもんを求めて」
第6回「名ヶ山小学校」
第5回「主な登場人物の紹介」
第4回「母の趣味」
第3回「兄の近況」
第2回「大橋史信さん」
第1回「ごあいさつ」