第2回 大橋史信さん
第2回は家族の紹介をしようと思っていたが、予定を変更して今月10日に惜しくも亡くなった大橋史信さんの話を。
大橋さんとはそれほど面識があったわけではなく、昨年7月にご登壇いただいた講演会の事前打ち合わせでアイスコーヒー1杯で2時間お話ししたくらい。それ以外ではOSDの講演会に参加者として来ていただいたり、よそのイベントで会った時に挨拶する程度の関係だった。
昨年の講演会でも、本来OSD側が考えなければいけないことを大橋さんの方からご提案いただいたり、チラシ1枚にも僕が気付かなかったことをご指摘いただいたりして、ありがたくも申しわけない気持ちになった。僕にも長期ひきこもりの兄がいたことで、ひきこもりについては人並み以上に考えているつもりだったが、大橋さんの前では歯が立たない。元当事者の大橋さんから引きこもり支援のあり方を学んでいきたいと思うようになっていた。
大橋さんが一般社団法人生きづらさインクルーシブデザイン工房を設立されたのが2020年7月。 “ひきこもり” ではなく “生きづらさ” と言っているところにセンスを感じていた。ひきこもりについて考えるとき、 “ひきこもり” という言葉だけで考えていてもなかなか見えてくるものがなく、大橋さんの問題の捉え方、視野の広さには学ぶところが多かった。
大橋さんのバイタリティがどこから来るのか、いじめと不登校、家族との確執、発達障害、ひきこもり、ワーキングプアの “生きづらさ五冠王” と自ら名乗っていたことからも容易に想像できるが、彼の行動力に引き寄せられていた人は多かったと思う。僕もその一人だ。
今月8日、大橋さんが企画した調布市での講演会・相談会に見学に行った時、テーマの設定と講師の人選がよかったので、
「大橋さんの企画パクらせてよ」と言ったら
「ロイヤリティー払って」と言われてしまい、
「じゃ大塚駅前のロイヤルホストでアイスコーヒーおごるよ」と返したら軽く笑っていただけた。こんな掛け合いが好きな人だったと思う。
これからもひきこもり支援の最前線で活躍されたはずなのはまちがいなく、残念でならない。大橋さんが残してくれたものを活かせるよう、学んでいきたいと思う。
みじかいおつきあいでしたが、大橋さんと交わした言葉のひとつひとつが思い出になります。大橋さん、ありがとうございました。